『雨の日の』
たいへん！
お昼頃から降る予報だったのに
傘を忘れた！
お買い物をしてレジで会計をしている途中で
財布の中身が足りないことに気がついた！
郵便受けから手を滑らせて
封筒が危うく水たまりに落ちるところだった！？
もしこれが春風の王子様からの
愛の手紙だったらと思うと──
普段から毎日顔を合わせて
愛を伝えてもらうのは大事なことですね。
あなたが恥ずかしがっても
言葉にするまで春風はわがままを言う理由は
そういうことです！
それだけでもないけれど──王子様を好きなだけですけれど。
それにしても、厳しい寒さが緩んで
春が近づくのを感じているうちに
このあたたかさで──少し気が緩んでいたのかしら？
いつでもしっかりおうちを支える
あなたのための奥さんになれるところを毎日アピールしていきたいのに
こんなに失敗続きでは
春風、困ってしまいます──
でも──少しくらいは仕方ない。
おうちの中は
いつも元気な家族みんながいてくれて楽しいし、
寒い雨の日も
帰ってくればあたたかいお部屋で過ごせるし──
失敗したり
わがままを言ったりしても
少しなら許して
春風のそばにいてくれる
あなたがいると──
そんな幸せは
世界の誰も知らない。
長い歴史があっても、
いや、もしかすると歴史にだって一度もないこんな事態に
あらがう術などひとつもない──
吹雪ちゃんが言っていたのは
春の陽気のお話だったかしら？
そして、春風が思うのは──
みんなが待ちわびている
春のあたたかさでさえも知らないような
にぎやかなお部屋があることを
みんなはもっと──
ときどきはしっかりしている春風もとろけさせてしまうほど
あなたがいてくれることをもっと──
もっと、なんだろう？
春風みたいにでれでれになってしまうくらいで
いいんじゃないかなとか──そういうことしか出てこないんだけど
ううん、しっかりしなくちゃ！
甘えてばかりは卒業しないといけません！
王子様、あしたは少しだけしっかりする春風を見ていてください。
春風をとかしてしまうのも──もっとちゃんとしたい気持ちにさせるのも
これほどの気持ちにさせるのは、あなたしかいない──
コンビニの傘が少し小さくてはみ出した分がどろどろに濡れているとしても
あなたが私を変えてしまう力と比べたらなんてことはないのだから──
くしゅん！
とりあえず今日は早く休みますね──
