春風

『魔法の力』
春風のかわいい妹たちはお菓子が大好き。
あんまりたくさん食べると怒られてしまうけど
おいしいお菓子をみんなで運んで
テーブルに並べて仲良く食べているときの
うれしそうな顔!
見ているだけで心が和みますね。
あっ、だからといって
食べすぎはダメだし
歯磨きもしっかりしないと
お姉ちゃんがちゃんと見ているんだから。
春風も小さいときはお菓子が大好きで
自分ではわからないけど
とってもおいしそうに楽しく食べることにかけては
姉妹でもなかなか勝てるものはいなかったということです。
うふふ。
その頃の春風に会いに行って
お菓子よりももっと好きなものができるんだよって教えてあげたら
信じるのでしょうか?
王子様はどう思う?
春風はハロウィンの日にメガネをかけて仮装しました。
普段よりちょっとおしとやかそうに見えるでしょう?
もしかしたら大人っぽくなったのかもって気分にもなるし。
なんだか今すぐに
私の大事な王子さまの毎日のスケジュールを覚えて
いつもつきっきりで離れずお役に立てそうなそんなパワーが
もりもり沸いてくる感じです。
それに、もしもこのメガネが
何かの不思議な力で春風がわからないうちに
なんでも見えるようになっていて
王子さまの好きなもの、欲しいものがすべて
手に取るように春風に伝わってきたりしたらいいのにって
ずっと考えていたの。
だけど、そうするともしかしたら
王子様が春風のことをあまり好きでないようだとしたら
どうしたらいいのかもう春風は動けなくなってしまうのではないかと
怖くなってしまいました。
そんなことが怖くて
好きになったわけではないのに……
勇気がなくて嫌になってしまいますね。
楽しいハロウィンの日が過ぎて
みんなはたくさんのすてきなものと、おいしいものを手に入れました。
とてもいいことだと思います。
それは思うんだけど、でも……
春風がみんなみたいに好きなものをもらえなかったのは
不公平だと思ってしまうの。
子供みたいなわがままでしょう?
仮装したついでに、気持ちも少し子供に近づいてしまったのかな?
王子様はこんな春風を笑いますか?
それとも、もう少し近づいて
一番に知りたかったあなたの心を
見せてくれるのなら……
たとえおそろしい答えでも
春風の願いは叶います。
王子様、どうか春風に
受け入れる強さをください。
とても怖い気持ちと隣り合わせに何かがあるのだと
教えてあげてください。
春風はもう子供じゃないもの。
どんなことでも、もうくじけないと思います!