春風

『うれしいこといっぱい』
今日も夕凪ちゃんは
お兄ちゃんとたくさん遊んで
いっぱいおやつも食べて
お手伝いもしてくれて──
まだ日も落ちない時間、
お風呂の時間を前に
ついに体力が尽きて眠ってしまいました。
ウフフ、かわいいですね。
こんなに力を使い果たしてしまうくらい
楽しいことが──
夕凪ちゃんにはいっぱいあるみたいなの。
なんて
うらやましい!
なんて
いい子なんだろう!
春風が同じくらいの年頃、
こんなふうに毎日が楽しかったかしら?
あ、でも
春風が小さい頃は
私の王子様がいなかったもの──
条件がだいぶ違っていますね?
思うに、
年齢の差と、
好きな人がこんなにそばに
いるいないの差では、
明らかに好きな人のほうが
影響が大きい気がするんです!
つまり──
夕凪ちゃんが、大好きなお兄ちゃんと一緒にいられて
うれしいのと同じくらい、
春風だってお姉さんなんてことは関係なく
とんではねてころがって
王子様に夢中になっても
ぜんぜんかまわないという理屈が
成り立ちませんか?
どうでしょう!
まあ、夕凪ちゃんみたいにはしゃぐのは
そんなに得意じゃないけれど──
でも、春風にも
大好きな人がそばにいてくれるんですもの。
ちょっとくらい子供っぽく甘えることがあっても──
それは仕方がないと思います。
あ、そうだ。
このあと──
水まきのお仕事がまだ残っているの。
王子様にお手伝いを
おねだりしてもいい?
もうすっかり、水まき大好きの夕凪ちゃんは
眠ってしまったけれど──
そうすると、はしゃぐのは春風ただ一人きり。
どうでしょうか?
春風しかいないのなら
王子様も、少し恥ずかしいところを
見せてしまっても──
誰も文句は言わないはずです。
ウフフ──