春風

ティーパーティー』
王子様
こっちへ──
春風のことに気づいてる?
みんなが楽しみに待っている
かわいいものでいっぱいのハロウィン。
もう、だいたい準備もできて
仮装もお菓子も飾りつけも
あとはもう少し──細かいところにこだわりたい!
という子がいるくらい。
そんな頃、春風はと言えば
きっとお祭りを楽しむにも
体力が必要だと思い──
待ちきれない子や
準備でお疲れの子を招待して
お茶とお菓子を用意してあげる時間を作っている──
それがひそかにうわさになって
夜になると秘密のお茶会が
開催されているとか──
参加できる子は限られているとか、
実は迷い込んだおばけたちも
どさくさでテーブルについているとか
いろいろ。
おひれがついているみたいです。
でも、本当に
噂話だけなのかしら?
春風が知らないだけで
気が付く子は、おばけが遊びに来ているのを見たかもしれないし
誰でも歓迎の
みんなが集まる会とは別に──
特別な、春風とあとほんの数人しか知らない
秘密の秘密の夜だって
あるかもしれないじゃない?
ハロウィンの季節だもの──
うわさは否定しないで、神秘的な深い夜の色の霧に包まれているのが
この時期らしい気がします。
だから──
一度くらい、誰も知らないお茶会が開かれていて
口の堅い人が
来てくれたって──
一度と言わず、二度でも三度でも
ついでにハロウィンが終わった後だって
秋の夜長だもの──
春風は、かまわないと思うの。
今夜は──不思議と静かな夜ですね。
みんな、準備に疲れて早く休んだのかな?