観月

『おばけたち』
弱ったところを狙って
忍び寄り食らうおばけが
いるかと思えば──
浮かれた隙を見つけて
いつのまにか何気ない顔をして
近づくものもいる──
わらわは、少し
おばけのことを知っているから
みんなを守りたくて
浮かれすぎないように気を付けているが、
なんといっても
子供なのでな。
楽しくなった隙をつかれると弱いのじゃ。
それに、いろんなおばけたちには
力が強いもの、
知恵が回るもの
あまりにも手ごわいので
歯が立たない相手はたくさんいる。
なにしろ長く生きているやつも多いからな──
わらわがどれだけ修行をしたところで
いろいろ教えてくれるおばあのようには、なかなかいかぬのじゃ。
そういうときはどうするか?
やられそうな相手が
たくさんあらわれたら
小さな子供の観月はどうするのだろう──
まあ、でも結局
自分の持っている力を使う他のことは
誰にもできないから──
それまで鍛えてきた自分を信じて
勇気を出すほかに──なにもない。
わらわが誰にでも自慢できる
鍛え上げた力といったら
おうちできょうだい仲良く
良い子にすることくらい──
あるいは、それほど
自信があるのなら──
山のようなおばけも、わるがしこいのも
追い払っていけるのかもしれぬ。
おばあとくらべたって──
わらわが、今こうして過ごしているみんなを守りたい気持ちは
なかなか負けない気がするぞ。
それでも──
強いおばけがついにあらわれたら?
うーん、そうなったらその時はその時じゃ。
地獄に落ちるときも
極楽を行くときも
きっとわらわは、無邪気に兄じゃのうしろを
追いかけていって
手をつないでもらいたがるのだろう。
心配することはない。
必ず、いつも一緒にいるのじゃ──