真璃

『お祭り娘』
お祭りがあると聞いたら
胸がときめいて
なんだかわくわく、
たったそれだけで
世界がきらめきだすような気がしてくるの──
好きな人の手を取って
誘ってみたらいいかしら?
あの人と──
どんな時を過ごせるようになってしまう?
楽しい音楽と
おいしい食事と
ちょっぴりかわいい小物たち──
何よりもあたたかい、みんなの笑顔。
マリーを取り囲むすべてのものが呼びかける。
お祭りがやって来るわ!
ああ──きっと忘れられない時間になることを
マリーちゃんだって
もう知っているんでしょう?
そう言ってる。
一人でいるだけでも
お祭りを期待する子はそわそわ落ち着かないというのに
おうちにお祭り娘が三人も四人も
もしかしたらそれ以上にいるのだとしたら
もう、どんなにうるさくて
どえらいことになってしまうのだろう!
はあはあ──
でも──ときどきは気が付いてしまう。
楽しいお祭りを待ちながら準備をする
この時間──
少しホラーな雰囲気のある音楽を
選びたいわ!
かぼちゃのおいしそうなにおいがしているわ──
そして、女王様みたいなマリーの美しさを
この夜だけはあやしく飾り立てる
装いを用意してみたら──
みんなと顔を合わせて
こうして準備している今の時間が
もしかして、お祭りが終わった後に
一番懐かしく思い出すことって
たまにあると──
小さいマリーでも知っている。
きっと、あーちゃんだってもうすっかりわかっている。
特別な時間はもう始まっていて
こんなに楽しい表情を一つも忘れないことを
もうみんな知っている──
それがわかるからこそ、お祭り娘は今からもう胸が弾むのよ!