真璃

『かくれんぼ』
知ってる?
とても大変なお仕事よ!
子供たちは暖かな季節を迎え、
もはや止めるものは何もないというように
とびはね、はりきり、夢中になって
春を楽しみつくそうとしている──
暖かくなったから
もう、できないことは何もない!
とばかりに──
汗を流し転がって
世話をするマリーたちもおおいそがし!
なにしろ、寒さを怖がることも
あんまりなくなったでしょう?
どこへでも行けそうな気がする。
見つからなかったものや知らなかったものまで
手に入らないものなんてもうないの。
特にかくれんぼの時は
だーっと走っていって
最近見つけたという隠れ家に飛び込んで
そのまますっかり消えてしまう!
どこからか──
くすくす漏れる笑いや
小さくからかう声は
届くというのに。
マリーが大人になってしまったから
かくれんぼでは
もうすっかりかなわないわ。
いつのまにか──
すてきな場所を見つけるのにすっかり慣れたみたい。
このまま、子供はすぐに大きくなって
お姉さんたちが心配していてもかまわずに
くすくす笑って
どこかへ行ってしまうんだから
春を迎えるのは楽しいような、
みんなが大きくなる未来を思って
少し切ないような──
今日もぽかぽか日当たりは最高。
ちっちゃな妹たちは──一日でどれだけ
すくすく育っていったことやら。
そうそう、お姉さんだから知っているんだけど
またお弁当をもってお庭を歩いて
お昼を食べる計画が──
はじまっているそうよ。
うめぼしも、さんしょうも
あの子たちは食べられるようになったのかしら?
マリー?
マリーは自分用の好きなお弁当を作る準備をしているわよ。
少し大きくなったからこそできること!
今日もおてつだいして勉強したんだから──