『おはなし』
暗闇の中の秘密や
夜だけのひそひそ話。
深く沈み水底に手を伸ばして拾い上げたような
誰も知らない生き物たち──
こっそり潜んだふりをしてしでかしたいたずら。
まだ子供たちが知らないまま
ベールをかぶった甘いときめきの何もかもが
もうすぐ──
やってくるのだと
私たちは知っている。
でも、大丈夫なのかしら?
子供たちもおばけのことは
ちょっとこわがっているし、
とても面白くて
かわいらしくて
怖いところもあるけれど──そこが一番の魅力なんだって
伝えるにはいったいどうしたら?
そういえば、ホタも小さい頃は
怖がりだった気がするな。
世の中のことを何も知らず
願えばなんでも叶う気がして
見渡す世界にまだ闇の気配が──足元に漂うようにしか
わからなかった頃、
たまたま通った墓地の帰り道で
泣いている小さな女の子を見つけてから
運命が変わり出し──
あ、これだと
話を聞いた子供が
あまり大人の目が届かないお墓のほうへ遊びに行ってしまうかも。
うーん──それなら
お手伝いのお風呂掃除や掃き掃除で
ブラシやほうきが突然かわいらしく声をかけてきて──
どうでしょう?
やっぱり、若い子には刺激が足りなくて退屈かな?
だったらこういうのはどうだろう──
あるところに、20人きょうだいの
偶然にも私たちと同じ人数の仲良しの子たちが
いたずらをしようとやってきて、
一人ひとりが自分の自慢の得意技では負けたりしないのだった。
このままでは──世界はいたずらされ尽くしてしまう!
たいへん──おうちの小さい子たちもいたずらができる分が残るように
あいつらを追い返さなくっちゃ!
私たちも、自慢の技を磨きあげて
どんなに立派な良い子か見せてあげたら
逃げていくというお話です──
ヒカルちゃんは足の速さが自慢。
小雨ちゃんは優しさが自慢。
そして蛍はというと
お兄ちゃんにそばにいてほしくて
いつも一緒に遊んでほしい気持ちの大きさでは誰にも負けない──
そういうのって、どうでしょう。
面白い?
お兄ちゃんも、喜んでくれる?
みんなには得意なことがたくさんある気がします。