綿雪

ホットケーキミックスの魔術』
ホットケーキミックスで作れないものは
この世界に何一つない。
おうちには春風お姉ちゃんとホタお姉ちゃんと──
お手伝いが得意な子供なのだから
そうに決まっている。
今日も暖かくて楽しい日。
お兄ちゃんと、お姉ちゃんたちが
お買い物の荷物を抱えて
帰ってきました。
寂しがっていた子供たちみんなで
お迎えをして──
大喜び。
お兄ちゃんたちは、小さい子がどんな顔をするか
楽しみにしながら
お買い物をしたんだって。
みんなでチラシを見ながら選んだお菓子も、
いつも食べているお気に入りも、
春らしいかわいい包みの新商品も──
みんな、うれしいの。
お兄ちゃんと──お姉ちゃんたちの
帰ってくるおうちが、
ユキとみんなのいるこのおうちでよかった。
きっと帰って来てくれるから、
もう寂しい思いもしなくていい。
せっかく帰って来てくれたんだから
今日はどこにも行かないでくださいね。
しかも、お買い物の
袋の下のほうには──
ホットケーキミックスも入っていて、
みんなの前にあらわれる。
ユキ、あんまり
たくさん食べる子ではないけれど、
春風お姉ちゃんとホタお姉ちゃんに
ホットケーキミックスで作ってもらいたいお菓子が
たくさんあるの。
食べ過ぎはいけないけれど──なるべく残さず食べたいの。
そうしたら、お兄ちゃんとお姉ちゃんたちと
みんなで同じテーブルに座って、
いろんな話をしながら
ホットケーキミックスがあってよかったなって、
いつまでもテーブルから
おいしそうなお料理がなくならないみたいだ!
なんて話をしながら──
ユキは今日もそのテーブルにいて、
一人のお部屋には
なかなか帰らないんだから。
いっぱいの荷物のお買い物は
とても大変だったでしょう?
おいしいもので元気が出るといいですね!
たまに、ユキにも
今日はお菓子を作るお手伝いをしたんだって
お話をさせてね──
お菓子が焼けるいい匂いが広がると
みんなが集まってきます──
暖かくて、おなかがいっぱいの春の日。
今日はそんな日を過ごしました。