真璃

『おどろきの10月』
フェルゼン!
マリーはおどろくことを聞いてしまったの!
海晴お姉ちゃまのお話だと
むかしの10月は
もみじ狩りやおいも掘りや
お米屋さんに並ぶきらめく新米が
何よりお楽しみの
特別なイベントになるくらいで
なんとなんと
ハロウィンはそんなに
みんなが参加するイベントではなかったそう!
海晴お姉ちゃまたちも仮装をするようになったのは最近だって。
ほんとう?
お姫様になり、狼男になり、宇宙飛行士にもなれる
楽しい仮装ができて
考えるだけでそわそわうれしいハロウィン。
こんなにいいものが
むかしはなかっただなんて!
マリーの秋に欠かせないお祭りなのに
不思議な感覚ね──
おいもやお米はそれはもうすばらしいものなのは
わかっているけれど
きっとその頃に生まれていたらマリーは
なんだか心に秋風が吹き抜けていくように
物足りないものを感じてため息をついていたのでしょうね。
そんな話をユキちゃんや吹雪ちゃんと
お互い暖めあうみたいに顔を寄せ合って話していたら
秋は毎日暮らしやすくなって
本を読むのに集中できる時間が増えるだけでうれしい、
ハロウィンにはそんなに興味ないって
吹雪ちゃんが言うのよ!
そんな!
吹雪ちゃんが好きなアカデミックな博士にもなれるのよ!?
でも吹雪ちゃんはそろそろ本物の博士にもなれそうなくらいかしら?
ただ、ハロウィンで興味があるのは
おばけがやってきて仮装で追い払う季節だから
まだ見たことのない謎めいたおばけたちを
もしかしたらこの目で見ることが出来るとしたら
なんとすばらしい!
って、興奮してた──
う、うん
そうね。
おばけね。
まあ誰も見たことがないものだから
そう簡単に会えるとは限らないし。
フェルゼンは今年はどんな素敵な姿に変わりたい?
どんな見た目になったって
マリーと相思相愛の王子様だってことはずっと確かなままだけどね!