観月

『うたかた』
暗くて
寒くて──
凍りついた静けさの中に、
冷たく何かを反射する光のように
またたくのは──
ここしばらくは、年明けのおめでたい雰囲気と
にぎやかな暖かさがあったからか
森の重なる枝が作る黒い影も
星が見えない夜のお庭も
あまり、よくないものは
あらわれなかったようだが。
人の明るい暮らしが落ち着いて
だんだんほころびのような隙が出てくるところへ
音もなく入り込んで
のぞきこむ
あのものたちは、
たとえば、すやすや眠っている子供の顔をのぞきこもうと
窓を開けたままにしておいたり──
いたずらで布団をめくりあげたりと
悪さをして、
この寒い時期に人が風邪をひく
原因になってしまったりする。
ただの窓の締め忘れや
寝相の悪さと区別がつかないのが
やっかいじゃ!
まだ力を身につけ良い子になる修行の途中で
あまり変なものを
追い払う力がないわらわでは──
小さな子供たちで集まって
布団をかけてあげたりするだけで
せいいっぱい。
せめて──もう少し暖かくなるか
節分の鬼払いでもやってくるなら
できることもあるのだろうが。
今は──
ひとまず
息をひそめて
寄り集まってふるえながら、
冬が過ぎるのを待つばかり。
一緒に眠る子供たちが
ぐずってまた布団から出て行かないように、
読んであげる絵本を選ぶのも
おしごとじゃ。
わらわにできることをして──
あのような、おうちでわいわい明るくしていればすぐに薄れてしまう
怖い暗がりの奥など
近づけたりはしないようにして
あったかく──
日々を過ごしていかねばの。
今夜の絵本は、
ふむふむ。
ねないこ──?
おおっ、これは
興味深い内容じゃの。
ほう、そうであったのか。
そうか──わらわがまだ知らぬことも──世の中にはたくさんあるし、
兄じゃに頼んで読んでもらいたい絵本も
このように見つかるとは。
冬の夜というのも、がんばって乗り越えてみるものじゃ──