さくら

『おしえて! あまいおかし』
おばけはこわい。
こわいとさくらは
にげてかくれて
お兄ちゃんが見つけてくれないと
ないてしまう──
でも!
ことしのハロウィンは
そうもいっては
いられない。
春風お姉ちゃんが、おさいほうにむちゅうで
たのしくなって──
おかし作りをわすれていた。
このままでは、おかしがたりなくなって
こどもたちがおなかをすかせて
ハロウィンのよるに
ほんとうのおばけになってしまう──
そうしたら、ママから
それはしかたないね、
おさいほうは
はじめてみると
たのしいからねと──
ことしはとくべつに
みんなですきなおかしをすこしかいなさいと
おこづかいをもらったの。
さくらに、ひゃくえん。
春風お姉ちゃんに、ごひゃくえん。
みんなでおかしのカタログをのぞきこみ──
よだれたらして
あれこれまよって。
さくらはまだ
ちいさいから──
みたことのないおかしや
たべたことのないおかし、
きいたこともないおかしまで
たくさんたくさん
どこまでもみつかる。
あっちをみても
しらないおかしのごほん。
こっちにいっても
しらないおかしのうわさばなし。
どれにしよう──
まよっちゃう。
おいしいおかし、
なにをたべようか?
さくらは甘いおかしがすきなの。
ええっ!?
だいたいどれも甘いって?
こいのあじだって!?
お姉ちゃんたちがおしえてくれたよ。
そうなんだ。
あまいあじ
こいのあじ
さくら、ハロウィンのよるがやってきても──
ことしは泣かないかもしれないの。
だって
まよって、それどころじゃないんだもの!
泣いているさくらはもういない。
よだれをたらしているからね。
さあ、どうしようかな──?