『大きくなった青空ちゃん』
ええっ!
ちょっと目を離したすきに、
青空ちゃんがこんなに大きくなって!
ひな祭りに作ってあげたコスプレ衣装も
すっかりぱっつんぱっつん。
でも、まかせて!
このくらいなら春風が
ちゃちゃっと直して合わせてあげられます。
ほーら、この通り。
見上げるほどに大きくなって
どこまでだって手が伸ばせそうな青空ちゃんも、
春風にかかればまだまだ愛らしい妹。
こんなにかわいくて、
ぐんぐん成長しながら迎えたひな祭り、
春風にもあったみたいで──
思い出の写真もたくさん残っています。
あとで、王子様にも見せてあげますね。
服を直してくれる大きなお姉さんがいなくて
ぱっつんぱっつんだった春風を
あなたにも知ってほしい──ようなそうでもないような。
今年も新しい写真が増えるみたいでうれしいです──
あの頃は、こんなふうに
小さな妹たちのお世話が楽しいことも
知らないで──
甘えんぼうで、わがままばっかり。
いつのまに──お姉さんになっていたのでしょう?
針仕事も、ひな祭りのお祝いのお料理も
おうちの仕事はそこそこ学んでできるようになった。
これなら、いつお嫁にもらわれていったって問題なさそうだし、
こんなに明るい日を一緒に過ごしたのなら
もう、王子様にもらってもらうのは決まったようなものだと思うし──
あ、でもその理屈では
蛍ちゃんも同じくらいもらわれてもいい気がしてくるな。
じゃあ、王子様には二人もらってもらうところから始めてもらいますね。
今日も暖かく──にぎやかで
みんなが元気に過ごす一日でした。
春風が家族といっぱい楽しむひな祭りを、また一年。
わんぱくな青空ちゃんも、いつか、もっと大きくなって
お姉ちゃんらしくもなって──
やがて、大好きなお兄ちゃんの目にかなう日もやって来るのかしら。
なんだか──ちっとも想像ができないですね。
春風が服を直してあげたことを懐かしく思う日が──まだ知らないいつか。
毎年のひな祭りのお祝いに願ったおかげか、
春風は女の子らしく
花嫁修業も積んで
愛する人を見つけて──
そして、あなたの胸に飛び込むことしか
今はまだ──他に何も知らない。
これからまた変わってくのでしょうか?
あなたがいろいろなことを教えてくれるのでしょうか?
永遠を誓った運命の人の腕の中で
春風は何を知るのだろう──
あなたはもう知っているの?
春風はすべてを受け入れます──
そう決めたのだから、もう迷わないんです。
暖かいひな祭りの日──
お庭の花が鮮やかにほころぶのも、きっともうすぐだと思います。