氷柱

『その翌日』
チョコの食べ過ぎで
虫歯になったり
太ったりして動けない子は
いないらしい!
歯磨きもちゃんとする
きちんとしている家族。
まあ──それなら、
年に一度のバレンタインくらい
付き合ってあげてもいいけど!?
せっかくだからというだけ──
別に、好き好んでというわけじゃないけどね!?
みんながどうやら
それなりに楽しんだらしい
昨日が過ぎて──
さすがに疲れた子がいて
静かになるかと思いきや、
元気でうるさいのは変わらないわね。
チョコで栄養を摂りすぎたのかしら?
ずっとがんばって
お菓子を作るのも成功して、
そろそろ一休みしたっていい頃なのに
なんだかあっちもこっちも
うれしそうで
にこにこして──
なにかしら!
これ!
たかがチョコを食べる日。
ちょっとだけ家族の一人の男の子が
喜んでくれたらしい日。
それだけなんだから
早く日常に戻らなくっちゃね!
それなのに
陽気な声が今日もさえずって
浮かれた歌まで聞こえてくるしまつ──
バレンタインは
いい日だったんだって。
世の中にはいろんな意見があるから
一概に否定はできないという考え方もあるわね!
でも──勘違いしないでよね。
こんなに楽しそうな歌を作って
歌っているのが聞こえてくる
そんな家があったからって──
おうちのみんなが明るくて
お菓子が好きなだけで──
別にあなたのおかげとは
言い切れないんだからね!
チョコはおいしいから
あげただけ──
それだけよ!
いや、私はそんなに甘いものばっかり好きでもないけど
だからなんだってわけじゃないけど──
あなたに喜んでもらいたくてあげたんだから
喜んでもらえて良かったみたいな話になって来てるけど
別にそんなことないから!
知らないわよ!
まあ、放っておけば家の中も元に戻るでしょ。
私も少しクールダウンする時間があったら助かるし──
って、なぜか私までまだ浮かれているみたいな言い方!
やめてね!
知らない!
ふう──大丈夫だから。
すぐ落ち着くはずだわ──たぶん──いえ、きっと──いや、まあ、たぶんね。