綿雪

『お部屋で』
少し体調を崩して
お部屋のベッドで横になる
その時に聞こえるのは──
ばたばた
にぎやかな足音、
大きな声で
笑ったり泣いたり──
ユキ、このごろ寒くて
みんなが落ち込んでしまっていると
なぜかすっかり思い込んでいたんです。
ちょっとだけ──
横になったときにだけ聞こえる
普段気付けなかった音が
本当は──おうちの元気な子供たちなら
ちょっとくらいのこと、
なんでもないんだと
教えてくれるみたい──
でも、どうして
こんなににぎやかなんだろう?
特別なことがなくっても
いつもそうなのかもしれないけど──
やっぱりみんなのところに行って
本当に元気な顔を見て
抱っこしたり──そばにいたりして
自分で確かめなくては
理由があるとかないとか
納得できるかはおいといて
どうもおさまりがよくない気がします──
いつのまにか、観月ちゃんが対峙してくれるはずのおばけが
おうちに乗り込んでみんなの声でさわいでいるかもしれないし
ユキがまだ
夢を見ているだけかもしれないし──
冬の寒い間に
おいしいものを食べて温まったりしたいって
キッチンにお姉ちゃんたちが集まっていたのを
ユキもおぼえていて、
やっぱりユキもそうしたくて
つい気持ちが高ぶって
そんなふうに聞こえているだけかも──
だから──
元気になったら、ちゃんと覚えていて
みんなの声が
聞こえていた!
って伝えるの。
何を話していたか教えてもらうの。
早くみんなのところに行きたくて
がんばって体を治したって聞いてもらうの。
だから──ちゃんと休みます。
寒い冬には、しっかり休むのも大事だってみんなが言うんだもの。
元気になったら──お兄ちゃんにも教えてあげなくっちゃ。
もう知っているかもしれないけど、でもユキは
いっぱい伝えたいんだから。