吹雪

『センサー』
キミの望みを
なにもかも全て叶える──
ひとつも言葉にしなくても
心の中を覗き込んだように
必要なこと全部がわかって
残らずみんな
現実に──
キミの前に差し出すと。
そういうことができる人が
この世には存在するそうです。
本当でしょうか?
目と目を合わせるだけで。
すぐそばにいるだけで。
いや──
条件などは何一つ求めず
ただそうありたいと
願うそれだけで
現実は、物理的な不可能性を問題とせず
いまだ発見されていない何らかの理由によって
恋の力は──
そしてまた、家族愛の力は
キミのために働き
キミを幸せにしようとするためにのみ
自然界の四つの力でも
あらゆる実験でも知られていない力で
それは可能となる──
春風姉の主張する話をまとめると
だいたいそのようになります。
そんなことって
あるのでしょうか?
もちろん、科学は世界のすべてを解明したわけではなく
ただ暗黒を祓う光の範囲が広がるたびに、
知ることによっていまだ未知の範囲があると示される
延々と続く旅路こそが──
いま、私たちのもとに現実的な光と温かさを届けている源である──
それはやがて
今は不可能と思われている何事かを可能にし、
また別の難題を見つけ出していく──
繰り返していく。
であるならば、今はまだ
解明されていない理由で
こうしてじっと目を見ることによって
伝わるかもしれない──
キミの望みが。
願うことによって
実現するかもしれない──
私が──思っていることが。
この寒い冬の毎日に
キミはあたたかく過ごしていてもらいたい。
体調を崩さないでいてほしい。
声が──
笑顔が──
いつも私が安心できるくらい、近くにあるように。
キミの願いが
なるべく──
それが良いものであると感じたら
できれば本当になるように私も一緒に願ってみたい。
甘い──おいしい──栄養になるものを食べることが
ときどきはキミの幸せになってほしい──
しかし、春風姉の言うほどには
それは現実と近くて叶えやすい出来事であるかどうかは
私には、まだはっきりとは断言できません。
今はただ──吸い込まれるような気持ちで
わからないことばかりで
その瞳を見ることしかできないようです。