麗

『年末』
クリスマスの大騒ぎも終わり
少しは静かな日常が
帰って来るかと思ったら、
もちろんそんな甘い目論見は通用しない──
世間では年末と言われる時期。
困ったことに、さわやかに新年を迎えるために
大掃除をしたり
おせちの準備やもちつきをしたり
冬休みの宿題もなるべく早いうちに済ませておくという
習慣があるそうよ──
なにしろ、宿題のうちでもわりと楽しみな子も多い書初めなどは
満を持してといった感じでお正月に取っておきたいものだし。
目の前にごほうびが吊るされていると
人はがんばれるものらしい──
年末はそんなふうに忙しくなっていくのね。
まあ、なんだかんだ
年明けは穏やかに過ごせる時間も多くなるはずだから。
今と比べたらたぶんそうなると思う──
なるといいわね──
というわけで少し忙しくても
なるべく心を落ち着けて
きっと片付くと信じながら
この年末を過ごしていきたいわね。
別に、どこかへ出かけたりする予定もないらしいから
みんなで晴れ着を身に着けて
初詣に出ることもあるかしら？
くらいの、ゆるいお正月がやってくるはず。
一年を無事に過ごせたことに
胸を張り──
晴れやかに進む新しい年に
そんなに立派なものじゃなくても
自分なりの抱負を胸に──
そんな年越しを迎えるなら
別に子供たちが期待するようなハワイじゃなくても
人の多い初詣の話題の場所じゃなくても
心躍る年末年始の美しい特別ダイヤじゃなくても
見慣れたおうちの
普通に過ごす日常で──
きっと充分なんだもの。
一年を無事に過ごせてまた次の年が来るだけで
満足するのが一番だわ。
そのために──
少しくらい、みんなが宿題を済ませたくてどたばたする年末になったって
覚悟はしておいた！
ふう。
まあ、小さい妹に勉強を教えている途中で
おしるこの試食が出てくるのは
この季節ならではと思って堪能することにしましょう。
あなたもそうでしょう？
年末は何かと頼られて大変そうにしている時もあるみたいだから──
あちこちが片付けでふさがって混雑している中では
みんなで肩を寄せ合ってせせこましくおしるこを食べているのも仕方がない。
早くすっきりした気分で年明けを迎えられるといいわね。
もういくつ寝ると──なんて声もそろそろ聞こえてくるみたいね。