真璃

『大人になったらなんになる?』
誰もが夢見る
そのまぶしく輝く未来──
大きくなったら
サンタさんになるの!
あの、世界の良い子たちのおねがいを叶えて
すべてのすばらしいおもちゃを配るために
なんでもでてくる袋を
誰だって一度は
手にしてみたいわ!
自分のために使ってみたいなんて気持ちは
ほんのちょっとしかなくて──
ただ、サンタさんになって
際限のないプレゼントが
手の中にあらわれるなら
それはきっと──
とんでもないお仕事だと思うんだもの!
そういう夢を持ったって
世界中の誰も怒らないわ。
叶うかどうかはわからないけど──
でも、誰にも
ダメなんて言わせない。
夢を見るならどれだけ大きくても構わない、
そういう特別がこの世界にあったって、いいでしょう?
このごろ、観月がクリスマスの街をながめて
何かを探していたようだったけど──
サンタさんへのプレゼントのお手紙は
もう書いたのにどうしたのかな? って
思って観察していたら、
どうやら観月も見つけたみたいね──
気付いたきっかけは
夕凪ちゃんの考えた尾行計画よ。
観月がよくお出かけする時間と帰る時間を調べて
どういうルートを通って
何を求めているのかを計算すると──
なんと、街のケーキ屋さんを探して
いろんなケーキに入っている
砂糖の量を調べていたと考えられるの。
虫歯は怖いって絵本を読んだばかりで
あんなにおそろしいものが世の中にあると
知ったばかりなのね──
でも、安心して。
人の力は
まだサンタさんの秘密の袋を
誰でも使えるようにはなっていないけれど──
それでも、怖い虫歯を防ぐために
できることがあると
努力を重ねて突き止めることができたのよ。
マリーはお姉さんとして
教えてあげられるかもしれない──
丁寧な歯の磨き方のコツを。
楽しくみんなで歯磨きをして
虫歯の予防ができることを──!
ふふ、こんないいことでも
クリスマスプレゼントと言うには全然まだ及ばないわ!
明るく星の輝く
聖夜はだんだんと近づいているわね。