氷柱

『年末の予定』
私の年末に待っている出来事は
家族で過ごすクリスマス。
以上!
他、予定は一切なし。
入れるつもりもない。
友達とも特にどこにも行かない。
たぶん。
なんだか、この寒くて忙しい時期に
やれイベントやら
やれ安売りやら
初詣の特別列車やらなんやかんや──
世の中には
いろんな人がいるものだわ!
でもまあ──
あんなことがあるこんなことがあるって
目をきらきらさせて話す子供は
ほほえましいものだから。
話のタネになるならいいかもね。
あの子たちも、もう少し大きくなったら
ちゃんと自分で予定を立てて
特別な日に出かけて行ったり
それで、迷ったり
困ったり喜んだり。
いえ実体験じゃないわよ。
でも、経験を増やすのは
たぶん大事なことよ。
たとえばクリスマスに
リボンで飾った箱に入って家族が増えるとか
しかも女の子だけの安心できる家の中に
なぜかあとからみんなのお兄ちゃんができるとかいうのは
話が別だと思うけど
そうでもなければ──
大変な時期に、それでもなお、いろんなことができるほど大きくなるのは
いいことなんじゃないの──
知らないけど。
まあね──
この時期だし
大掃除もあるし
楽しいお出かけの予定があっても
後に用事を回す言い訳にしたくないし──
家でゆっくり過ごして
穏やかに新年を迎えるのが一番なにより。
たぶん私は──そういう性格だっていうことよ。
それはきっと、私に奉仕するために生まれて
わざわざ下僕になりに家にやって来た
あなたもそうでしょう?
なぜか突然!
なぜかみんなのお兄ちゃんとして!
なぜか女の子だらけの家に!
なぜかこんな
ぼんやりした仕方のない人が来るなんて──
だいぶ理由を盛りに盛らないと
意味が分からないものね!
まあ、家族の関係に意味なんてないでもいいけど。
じゃあ、わかった?
どこにも行かないでみんなを助けてお掃除してくれるわね。
別に予定を作って出かけてもいいとして、
そういう時は、ご主人様への報告は忘れてはだめよ。