小雨

『星は光り』
きよし
このよる──
あっ!
お兄ちゃん!
これはその
今からお楽しみ会の歌の練習をするのも
ちょっと早いかなとは思ったんですけど。
もう青空ちゃんたちが楽しみにしているのを見たら
つられてしまったというんでしょうか。
負けていられない対抗心もあるのかも?
小雨は得意なことがひとつもなくて
人並みにできる何かがあったらそれで満足。
蛍お姉ちゃんから見ればお得な女の子の同士であって
春風お姉ちゃんにはもっと欲張っていいもったいない性格で
ともあれ、クリスマスが近づいても
あまりがっつりその日のためにはりきるのではなくて
せっかくだから
できることは少なくて
笑顔になってもらうのは無理だとしても
寂しくて泣いている子がいないですむなら
それでいいかなと
せめてにぎやかに
歌の出し物を選ぼうとしている
消極的な考え方ながらも!
青空ちゃんたちに
喜んでもらえるくらいには
歌えるかもしれないから──
引っ込み思案な小雨でも
小さい子たちががんばっているなら
負けてはいけないな、と
珍しくやる気になった
クリスマス会の出し物。
上手じゃないし
きれいな歌声でもないけれど
クリスマスにひときわかがやく星の歌。
がんばって心を込めて
いつもよりは恥ずかしがらないでいたいな。
することはそれくらいなので
これから年末にかけて
家族の誰よりもべつに期待されることがない小雨だから
せいぜいこうやってこっそり練習するだけ。
今年のまとめを迎える12月がきたあとも
みんなよりも時間はありあまっていると思います。
こんな小雨でよければ
いつでも家族の助っ人に駆けつけますと
みんなに伝えてありますので
お兄ちゃんも、だれかお暇な子がいたらちょっと助かるかもという場面には
いつでも声をかけてください。
お話聞きます。
12月は
家族で過ごすほかに予定がまったくないので。
クラスでは、クリスマス会の計画もちらほらあるようで
このあいだ
あんまり話したことのない男の子にまで
予定はあるの? って聞かれました。
クリスマスは
家族みんなで過ごします!
それをちゃんと伝えようとしたんです。
怖がらずに言おうと
がんばりました……
今年もまたクリスマスはお兄ちゃんがいてくれるから
クリスマスはお兄ちゃんといて
お兄ちゃんとクリスマス会をするからと
そればっかり繰り返してしまったような気もするけど
わかってもらえたみたいでよかった。
小雨の唯一の予定は
いつの年も変わらず
増えることも減ることもないままです。
冷たい雨の日も
歌があんまり上手じゃない今日も
星がきれいな日もずっと
今年も最後までお兄ちゃんとみんなでいられたらいいですね。