『寄り道』
寒さはいよいよ厳しくなってきた。
生徒会の仕事は、あと2・3日で区切りをつけて
確認と訂正──
それで終わりになるはずだ。
家のことでは、忙しい時期に迷惑をかけているが
もう少しだけ甘えさせてもらうことになりそうだ。
立夏と氷柱には助けてもらっている──
大事な妹に風邪などひかせられないし
疲れすぎたりしないよう──帰るのが遅くならないよう
気を付けているつもりだけど
たまには、思ったとおりにならないこともあるからな。
想定よりも無理をさせているかもしれない──
それも、あと数日のこと。
なにしろ今日からは
ヒカルも──生徒会に力を貸してくれることになったし
これからは仕事も早くなりそうだ!
助かるな!
うん!
手伝ってくれる子たちに
ささやかな感謝のつもりと──
なかなか一緒にいられない
大事な家族のために、
これで許してもらえるかどうかわからないが
よく私たちでおみやげを抱えて
帰ることにしているんだ。
クリスマスシーズンはどこでも
眺めるだけで楽しいお菓子が
たくさん見つかるから──
罪滅ぼしの個人的な感情はともかく──喜んでもらえていたらいいんだが。
ところで、みんなよく知っているように
私たちの学校には
帰宅時の寄り道を禁止する校則がある。
そんなに厳しく
取り締まっているわけではないけれど
いったい、生徒会長の立場で
寒いからお店に寄って
買い食いもするなど
軽率な行動ととられないだろうか?
あるいは──
生徒会活動にきょうだいの手も借りようとする
忙しさが知られることで──
ああ、家族が多い家で
買い出しなどもあって大変なんだな、
鬼の生徒会長も人間だ──
せめて穏やかな年末を過ごしてほしいですねと
そういう雰囲気に
なってもらえないだろうか?
そう、一応
家庭の関係で必要な買い出しと言い訳が効く範囲で
寄り道と甘いものの買い食いと
よく働く立夏や氷柱や、今日からはヒカルへのねぎらいを
していることもある。
体力はつけておいてもらわないといけないからな。
もちろん、こうしてお目こぼししてもらえそうだと考えて
自分の身内を誘ったというわけはなく
後から考えてそういう見方をしてもらえる可能性もあるな、と
思いついただけであって、
それが理由じゃない──
本当だ。
うーん、本当なんだが
強調するとなぜか説得力が失われていく気がするのは
なぜだろう?
まあ、そういうわけで
みんなのところにも明るくて優しい姉たちと
すみっこでごろごろだらだらする予定の姉が
もうすぐ帰ることになるだろう。
のんびりした年末年始を夢見て──今年も残り少なくなってきたな。