氷柱

『ねがい』
今の時期、
欲しいものがあるとするなら──
洗濯物がよく乾いて
日なたで過ごすのにもいい
よく晴れた日。
暖かい冬服と
たまに気温が上がったときに
着替えるくらいの動きやすい服。
風邪をひかない元気な体、
家族みんなの分。
それで、たまには
一人になって静かに
暖かいものでも飲んで過ごせるようなひととき。
ほんの短い時間。
ぜいたく品で
どこに行ったら持って帰れるのか
誰も答えを知らないけれど
たまにあったら、それはいいことだから。
冬の毎日を
なるべく暖かくして、
忙しくなる年末を前に
小さい子と遊んであげながら
のどかな時間を重ねて──
別に、そんなにたくさん
望んでも仕方がないからね。
うちは家族も多いし──
私はまだ
子供だって言われるし。
実際どうなのかはともかく。
もうすぐやって来る次のイベントで
クリスマスを楽しみにしている声が聞こえて
いつもより少し華やかに見える街並みに
かわいい小物が並ぶとしても──
欲しいものが届いて
うれしいことばかりのクリスマスは
結局、そんなには
ないものだわ。
そういうことがわかってしまうのは
大きくなったのが悪いのか
物事を割り切る癖がついたのか
それとも──
いつか、本当に
なんでも願いが叶ってしまう
贈り物が届くクリスマスがやって来ることだけを
心のどこかで待っているのか──
11月もそろそろ過ぎ去り
とても楽しくて騒々しい年の瀬が近いのだと
そんなことを言う人がいるそうよ──
本当かしら?
私は、ほんの少し眉唾物で
その日を待っている気がするわ。