ヒカル

『お月見』
煌々と白い明かりが
見慣れた縁側の景色を神秘的に変えて
まぶしく──
それはまるで昼間みたいに
いつもの夜を見慣れない姿に変える。
このごろ、子供らしいあどけなさで隠れ家を探して
家中を行ったり来たりする立夏も、
なぜか最近はどこかに消えることの多い
いつも明るく優しい春風も
それからもちろん、みんなのそばで少し控えめに
遊んでもらいたがっている小さなさくらも
誘われたみたいに夜空を見上げ
交わす声が月まで届きそうなほど
今日は透き通ったきれいな空気も見えるような
お月見の日。
今年もみんなで迎えたお月見だ。
おだんごもすすきも用意して
みんなでこの日を楽しみにして、
無事に迎えた
今日この時はまるで
あのまぶしい月の上にあると聞いた
天の人々の暮らしが
今だけは地上にもある気にさせるよう。
それとも、子供たちもいることだし
うさぎがもちつきをする眺めのほうが
みんなにはうれしいのかな?
私はどちらでもいいけれど──
こうして、いい夜を迎えられたのなら
他のことは何だって──
こんなにのどかに
ゆっくりした気分を過ごしている私みたいに、
子供たちも楽しんでくれているかな?
オマエはどうなんだろうか?
わからないことでいっぱいだ。
知りたいことでいっぱい──
でも、今日はこんな時間が
いつまでも続いてほしい気持ちだ。
ただ夜空に月が輝いて
みんなと見上げるだけの
こんな時間が──それだけでいい気がするんだ。