吹雪

『クールダウン』
今日は涼しくて
穏やかな日ですね。
こころなしかいつもよりも静かで、
おやつもたくさん残っている──
きっと蛍姉がおだんごを作りすぎて
みんなが満腹になったに違いない。
小さな子供たちが言っていたように
たくさん食べたおばけたちが満足して
家に帰っていったということは
おそらくないのではないでしょうか。
おばけを観測するには──現代科学では難しいようですが
未知の存在に挑むには
私たちが知る力に頼るしかないのです。
しらばく観察していたところによると──
観月は催眠術にかけられたように、
あるいはただいたずらをして喜ぶように
シーツをかぶったりお面をつけたり
走り回っていました。
ときどき、観月が何人もいるように見えたので
おばけが最初に出会った観月に
化けていたのではないかと夕凪姉は言っていましたが
はたしてどうでしょう──
確かなことは、今日は静かで
みんなゆっくり
おだんごをほおばって喜んでいるということです。
現代科学で説明するなら
この状況は──平穏というのでしょう。
あるいは、次の騒がしい出来事の
前振りか、どちらかだと思います。
私が見ていた経験によると、そうなります──
蛍姉のおだんごは
毎年、おいしくなっていくと考えられる事実も
記録しておき──将来、役に立てて行きたいと考えます。