ヒカル

『子供たちのうわさ』
汗をかいて
ひたむきに走っている時も、
涼しい風を感じて
立ち止まる時も──
家に帰ってさわやかにお風呂を楽しんで
ゆったりした気分の時でさえ、
秋の優しい気配を感じるときにはいつも
聞こえてくる──
企みのような、
また何かお騒がせかもしれないし
ただのいたずらをするだけか
あるいはあの子たちが越えなければならない試練に
立ち向かう悲壮な決意か、
何かをやろうとしていることだけは
静かに伝わってくるような
そんな気がする──
でも、家族で誰も知らない人がいないくらい
私がこっそり
秘密を探り出そうとする手腕は
あまりたいしたことがないので
つまり──
心配だけど
手助けもできないし
見守るだけしかできない。
うちの子たちが
悪いことをするわけがないっていうのは
わかっているけれど
それでも、やっぱり秘密で事を進められたら
はらはらするだろう?
あぶなかったらいけないし──
でも、できないなら
できることをするしかないからな。
春風や蛍は何か知っているみたいだから
子供たちのそばにいるのは任せてもいいんだろう──
どっしりかまえて
何事もなく自分たちの仕事をして
みんなが帰って来るのを待つだけだ。
それができれば、本当にいいんだけどね──
といっても
あの子たちだって何ができて何ができないのかわかっているはずだ。
無茶はしないはずだ──
まさか太陽を西から持ち上げたり
お月様を丸くしたりなんてことはするわけがないし、
のんびりかまえていれば
なんてことはないだろう。
うん、きっとそうだ。
あ、だけど──もしも何か
秘密のしっぽでも耳にしたなら
こっそり私のところに相談に来てもいいんだぞ──
オマエを信じているからな。