『見つけ出せ!』
たまに見かける
観月の話によれば、
この夏休みを利用して
秘密の修業場所で
訓練しているそうよ。
きっと将来は立派な妖怪ハンター? になって、
悪いやつらをばったばったとなぎ倒し、
かっこよく仕事をこなす
できる女になるに違いないわね。
でも、いいわよね。
自分だけの秘密基地で
秘密の修業!
子供だったら誰だって
夢中になるその響き──
大人から見たら
ほほえましく見えるかもしれないけれど、
本人は真剣なの。
この厳しい修行を乗り越えた日々の先、
きっと大きくなった自分がいる──
いつだって子供は真剣なんだわ。
いいわね、観月は
夢中になれるものがあって。
マリーは今年の夏、
何をがんばろうかまだ決めかねているわ。
だらだら過ごしたって仕方ないし──
かといってマリーを熱くさせるものなんて
そう見つかるわけもないし。
今はお手伝いをしたり
小さな子と遊んであげたりしながら
出会いの時を待っている──
そう考えると
観月も水臭いわね!
一人じゃなくたってマリーが手伝ってあげたいし
そうやって夏休みならではの体験をすることで
マリーだって何か熱中できる
新しい出会いを見つけ出すかもしれないのに!
そのうち、観月がどこに行ったか追いかけて
同じ修行に挑んでみたいわ。
こんなに楽しそうなことを
マリーに秘密にしようなんてできるわけがないと──
教えてあげないと。
それにしても、いつも姿を隠すのが
とても上手なのよ。
今日も観月はどこかへ隠れ潜み
こっそり鍛えて、大きくなろうとしている。
いったいどこへ──?
そして、どんな修行を──?
鍛え上げた先に、どんなふうに姿を変えていくのか──?
かわいくなるのか?
それとも、まさか観月がたくましく?
それは──まだ誰も知らないの。