綿雪

『占いの出番』
むむっ!
見えます!
いま、おやつの時間に
呼ぼうとしている
観月ちゃんは──
この家のどこかにいる!
まちがいない!
ユキは少しだけ
占いを覚えたの。
あんまり当たらないし、
恋のことしか占えない──
だから、こんなふうに
人を探す時には
みんなが喜ぶ占い師も
あまり頼りになりません。
こういうときこそ、
観月ちゃんがいてくれたらと
思うんだけど
探しているのはまさにその観月ちゃん!
夏休みが来て、
みんなは毎日
楽しいことを探して大忙し。
宿題に挑み、
虫取りに走り回って
なんでもやりたいことをできるというのだから
毎日、それぞれの目標に向かって
夢中で過ごしています。
あそびすぎて少し
夜更かしや
朝寝坊をしてしまうこともあるけれど──
それでも、一日がとっても楽しい。
暑くて大変な日もあるけれど、
なるべく体に気を付けてがんばっています。
だから、観月ちゃんが
どこかに遊びに行って
見つからない時──
そういえば、最近は
あまり占いを頼んでいないのを思い出したんです。
人はだれしも、
道に迷い
悩み続ける定め。
そんなふうに観月ちゃんが言うので
小さなユキも、
みんなも観月ちゃんには話しやすい。
秘めていた心の奥を──
一人で抱えていたつまらないことを
すっかり話してしまうの。
ユキよりふたつ下なのに
不思議な力を持っているようです──
ああ、今まさにその力が必要なのに!
まさか本人がいないなんて!
もしかして、今は見習い占い師のユキも教えてもらって
おぼえたらいいかしら?
お兄ちゃんは、ユキがなんでも
お見通しになるとしたら──
解決してほしい、どんな悩みも話してくれる?
水盆や水晶玉をにらんで
たちまちのうちに
あらゆる悩みを解決してあげられる──
なんといっても、今は夏休み。
挑戦するならこれ以上の機会はない──
でも、その前に観月ちゃんを見つけてあげなくっちゃ。
お兄ちゃんはわかりますか? どこに行ったんだろう──