観月

『失せ物判じ物
うーむ──
不思議なこともあったものじゃ。
なぜか、このごろ
観月の占い屋さんに
頼みごとをする人が来ない。
人に喜ばれる贈り物や
晩ごはんの献立に迷った時の相談。
いい形のよい石が
拾える方角まで──
なにもかもお見通しだというのに。
やはり、みんなの
気になる話題は
お天気のことだからなのだろう。
海晴姉じゃがするどく見抜く
今の時代の天気予報はよく当たるものだし──
いくらわらわが
情報通と言っても
お空の上まではなかなか
顔見知りも作れぬ。
とんではねても
たいして力のない
この体では──
兄じゃにしがみつくのがやっとじゃ。
どうじゃ、兄じゃ!
せっかくのお休み、
暇そうにしている
小さな観月の相手をせぬか?
修行のため、わらわは
もっとみんなの
役に立って──
いろんな経験を積まねばならぬ。
兄じゃに抱っこされるのが大好きな
このちびすけが将来、
天地の理を見通す大物に育つか、
そのあたりのあやかしにやられて
泣いて帰って来るかは兄じゃにかかっておるのじゃ!
今ならお代もお値打ちにしておくぞ。
きれいな小石を一つか二つ──
あるいは、かわいいキュウビにちょっとだけ力を吸わせるか
どちらかじゃ!
キュウビはわらわの言うことを聞くよい子なので
吸いすぎないから大丈夫──
兄じゃ、最近迷っていることはないか?
観月がお役に立つぞ──