ヒカル

『風の落書き』
今日も、西の空が
オレンジ色に染まって、
ようやく涼しい風が吹いた。
ふうふう言いながら
汗をかいて、
どうにかみんなで乗り切った
夏の暑い日。
大変だったけど、
こんなに生き返るような
いい風の吹く時間を迎えられたなら──
まあ、そんなに
大変なことだけでもなかったような気がする。
いくら夏休みの一日が
まるごと朝から自由だからって
私たちにはできることとできないことがあるけど、
一応──納得して眠れそうだ。
小さい子たちは、夏休みが来たら
なんでもできると思っている。
私たちはそういうことはないと知っているから
自分たちが満足できることをしなくっちゃ。
でも、そうでもないのかな?
汗でびっしょりになっても
なにも困らないみたいな顔で、
今すぐ思ったとおりに全てが叶う
夏休みは自分だけのものだと──
あんなに元気なみんなを見ていると、
まるで私の方が間違っていて
みんなと過ごす夏休みの夢のような時間に
できないことは何もないような──
それが当たり前なんじゃないかって、
へんな気分になって来る。
いったい何があって
無理だなんて思いこんだんだろう?
みんなはいつもあんなに夢中になって
叶わないわけがないって
教えてくれているのに──
なんてね。
せっかくのお休みに何でもできるなら
私は何をしようかな。
誰かが言ってたような、
金メダルを狙うとか
宿題がすぐ終わるマホウを作り出すとか
そんなことでもいいし──
それに──
ふふ──まあ、風が気持ちよかったからって調子に乗りすぎだ。
まだ夏休みは始まったばかり。
暑さに気を付けながら、私ももっと
楽しみなことをいっぱい探して
いっぱい、遊ぶ時間はありそうだ。
いいこともたくさんあるだろう──
中には、夢のようなことも。
そうだったらいいな──