『難解』
うーむ、不思議じゃ。
どうにも疑問じゃ。
ふに落ちぬことじゃぞ。
なぜなぜどうして、
人の気配に敏感で、
みんながお友達を呼んだ時などは
びっくりして隠れてしまう
かわいいキュウビが、
よりによって真夜中の
怪しい時間帯にせまる
サンタクロースの気配に
毎年いつもまったく気付かず
気持ちよく眠りこけているのであろうか?
見知らぬ人が忍び寄ってきたら
何よりもおそろしい時間であろうに
まるで家族が近づいてきた時に似た
警戒心のなさじゃ。
うーむ、兄じゃと過ごす時間が長く続き
やさしいのを見ているので、
夜中にお部屋へ着てお布団を直していくので
心配など全くいらないと
そういうつもりになっているのかもしれぬぞ。
いいのか?
こんなことで。
今は子供みたいなキュウビも
やがて大きくなれば
人を呑み山をも食らう立派なあやかしになれるであろうに。
その日が来るのは
おそらく百年の後、
あるいは千年経った先かもしれぬが
わらわのそばで
すくすく修行して育つ子じゃ!
いつか立派な姿を見たいものじゃの。
そう、思い出した。
マリー姉じゃが今年は
サンタさんに書いたお手紙は
乙女がいつも胸を震わせて
熱く求める
永遠に変わらない燃える愛ということであったそうな。
無限の時を越える
いつまでも続く気持ちが
聖夜を選んでこの家にやって来るならば
その変わらない何かは
やがて長い時の先に
その身を運び、
いつか大きくなったキュウビを見る日もあるはずじゃ。
立派でかわいい生き物が
遠い未来もこの家を変わらず見守って、
その頃にはクリスマスに少しは気配を感じたりするようになるかの。
訪れるかもしれないその時を思い
今年、この時の年の瀬を過ごすのもおもしろそうじゃな。