綿雪

『砂場のできごと』
トントン
グツグツ
──
もういいかな?
いい匂いがしてくる頃だと思うの。
少し寒さが
戻ってきてしまったから
みんなには温まってもらうように
今日はお鍋にしましょうね。
入れる具材は──
たいへん!
買い物を忘れて
冷蔵庫にはあんまりないんでした!
なんて。
ウフフ。
でも、心配いらないの。
子供たちのお気に入りの
ブロックなら
なんにでもなる。
そういう遊びだもの!
お鍋に近い色の
黄色のプラスチックのバケツに
ユキの入れる赤いブロックは
にんじん──
青空ちゃんが同じ赤色を入れたら
とうがらし。
マリーちゃんはマカロン
観月ちゃんは油揚げで、
吹雪ちゃんなら宇宙食のシリアルキューブにしたいのだそう。
これなら
いい味が出そうです──
ユキたちに優しいお兄ちゃんや
お姉ちゃんたちへ
元気になる温かいお料理を
本当に出せたらいいんだけど──
今はまだごっこ遊び。
いつももらっているものに
感謝の気持ちを込めて
お礼を返すことは──
そう毎日できるわけではありません。
せめて──
また寒くなった日にも、風邪をひかないように
祈るばかり。
そして心配をかけないように
自分たちのうがい手洗いをしっかりするくらい。
あれ?
観月ちゃんはどこへ行ったのだろう──
見当たらないですね。
家に戻ったなら
ちゃんと手を洗ってくれたでしょうか?
それとも、もしかしたら
お兄ちゃんたちにあげるものを
見つけられそうなのかも──
観月ちゃんは踊りが上手。
練習して見せてあげたらみんなが喜ぶはずだもの。
それはとっても特別で
すごいことだな──
トントントン。
ユキはもう少し遊んで
寒くなる前に戻ります。
手を洗ったあと
お兄ちゃんたちと手をつないで、
そのときに体が冷えてしまっていたら
驚かせてしまうもの。
おうちで学べる
これも大事なことのひとつ──です。