綿雪

『マイホーム』
ユキではぜんぜん
吹雪ちゃんが言っている難しいことは
わからないんだけど
でも、とにかく吹雪ちゃんがお願いして
学校からの帰り道
お兄ちゃんが一緒にいてくれるようになったの!
うれしいな。
もう11月になると
暗くなるのもすごく早い、
びっくりするほど早い!
すぐに寒くなるのも
おどろくほどだし、
それでユキはびっくりしながら
毎日家に帰ってくるの。
お兄ちゃん、怖かったーって
すぐに報告に行ってしまってばかりいるのも
お兄ちゃんは困るでしょう?
でも、一緒に帰ってくれるなら
怖くもないし
手をつなげば寒くもない。
暗いだけのことには
ちっともびっくりもしない
たくましいユキになれると思います。
それに、クラスのみんなは
お兄ちゃんやお姉ちゃんたちから聞いたと、
通学路にある古いお家を指して
あれはむかし
怖いことがあったお家だと言うの。
その話を聞いていると
どうも怖いことがあったお家が多すぎるようで
ユキはそんなに怖ろしい町には
別に住んではいない気がするけど
お兄ちゃんはどう思いますか?
ただユキが暗いのを怖がっているだけで
通学路も夕暮れの帰り道も
何も特別なことはないはず。
お兄ちゃんといれば怖くないから
それがわかるの。
お兄ちゃん、早く帰ろうね。
今日は怖いことじゃないお話をたくさんしたいです。