綿雪

『わるだくみ』
2月3日は
豆まきをする日です。
ホタお姉ちゃんから受け取った豆の袋。
おにはそと!
ふくはうち!
ひとつかみの豆をつまんで
家の中に投げてゆく。
こうすると
病気や事故などの悪いことが逃げていって
いいことがやって来るのだそうです。
マリーちゃん、観月ちゃん、さくらちゃんは
幼稚園で学んできたことを生かして
元気に豆をまき
私たちの家に福を運ぶお手伝いを一生懸命にしている。
たくさん声を出したら興奮して楽しくなるみたいで
みんなの先頭に立ち
小さい体で勢い良く
節分の行事に向き合っていきます。
むかしから
今日、豆まきをしたり
豆を年の数だけ食べて
言い伝えによっては、めざしと恵方巻きを食べたりするとよいことがあると
大勢の人が毎年重ねてきた行事。
お兄ちゃんやお姉ちゃんたちが
今まで続けてきた豆まきのおかげで
無事に月日を重ねて
ユキたちがまた元気に豆をまくようになったのね。
これからも次の節分や、にぎやかな出来事に続けていくために
立派に福を呼び込む豆まきを
これから育つユキたちが受け継いでいかなければなりません。
お兄ちゃんたちの豆まきが
ちょっと楽になって
人数が増えた分、ご利益は増えるのでしょうか。
そういうものなのかな?
ユキが指差し確認で数えた自分の分の豆を
むっつ。
食卓に戻ってぽりぽりかんでいると
小さな豆はすぐなくなって
みんな、豆だけでは足りなくてごはんを運ぶお手伝いを始めるとき。
物足りない気はするけど
まだ六才では
こんなものです。
いったいいくつくらいになったら
どっさり豆が食べられる大きなおなかになるのか
お兄ちゃんは知っている?
少し多めに残しておいたようすのお兄ちゃんの豆は
実は──
みんなに隠れて豆を食べようというたくらみではなく
すっかり空になった袋を見つめて一瞬だけさみしい気がしたユキたちのために
とっておいてくれた予備だと今は知っているのでした。
それが秘密であることも
本当はばれてしまったら氷柱お姉ちゃんがびっくりしてしまうことも──
お兄ちゃん、年の数より豆を食べても
ユキは急に大人になれないことを
今年、初めて知りました。
そうだろうとは思っていたの……
でも、いつもよりも元気に豆まきをしたから
やっぱりそうだったんだなとわかりました。
祈りが届けば
また来年。
お兄ちゃんはユキのためにこっそり豆を用意して待ってくれる?
上手に豆まきができていたのなら
結果はいつかその時。
また来年なんて言わず
朝になったらいつもより少し元気にあいさつをして
また楽しい一日がはじまるようにと
そんなユキを見せたいです!