『ひみつ』
夕凪ちゃんが
大事に抱えて持って行った
ホットミルク──
裏庭で飲むんだって話していたけど
薄く雪の残る
この寒い日に──?
日なたのほうでもなく
隠れるようにして──
あ!
まさか!
そういえば、観月ちゃんも
油揚げをもらってどこかへ行ったみたい。
寒さから逃れて
物陰に隠れる動物が
もしや少なからずいるのだとしたら──
それにしても、夕凪ちゃんも観月ちゃんも
秘密を隠すのが苦手みたい。
こっそり動物をかくまっているようだと、
別のことで頭がいっぱいの蛍にも
気付かれるほど。
思い出した話だけど、麗ちゃんもまた
この週末にお出かけしたいみたい。
きっと麗ちゃんのことだから
帰りが遅くなると思われるのを
わかっているみたいで
詳しく話してはくれないけれど、
麗ちゃんが出かけたいのなら
大好きな電車に会いに行きたいのでは?
そわそわして
服を選んでいる様子を
見かけた子も多いから──
やっぱり、隠しているけど
大事な用事があるのでしょうね。
勝手に出て行かないか気を付けていないと。
そうしている間に
蛍も──
本心を気付かれないようにすることや、
楽しみにしているのを──
恥ずかしがっていてもすぐ顔に出してしまう
似たところがあるきょうだいたち。
あるいは蛍の行動もまた
すっかり見抜かれて、
面白がられたりしているのでしょうか。
でも、わかるもの。
楽しみが多いのは
私一人ではないっていうこと──
お兄ちゃんは気付いているのかな?
楽しみにして待っているのでしょうか。
蛍たちのたくらみや──
実は、夕凪ちゃんの秘密まで知っていたりするのかな?
毎日近くで過ごして
すぐ隣でいつものお顔を見つめて、
もしかすると──もっと近づけば、
お兄ちゃんの本心もまた──
でもそうすると、蛍の秘密もまた知られてしまいます。
それは──ちょっともったいないかもしれないな。
お兄ちゃん、もう少しだけ待っていてね。
今はまだ蛍だけの秘密、
もうすぐ近いうちに届けるつもりで
用意しているんです──
きっとおいしくできると思うから、期待していてね。