星花

『探索』
どこにいるのかな?
姿を消して
見つからない──
雨を避けてどこかの軒下にでも
隠れているのでしょうか?
あるいは思い切って
この近くで屋根のある公園のあずまやなどに!?
あ、さっき家出をするって飛び出した
夕凪ちゃんは、
ちゃんとすっかり忘れたように帰ってきたから
今は猫の話なんです。
雨の伝う冷たそうな窓を見つめて
さくらちゃんは心配している──
あのふさふさ茶虎の
大きく育った猫。
ここまで生きてきた
たくましい子でも、
やっぱり雨の日は寒いと思うし
一人は寂しいんじゃないかって
さくらちゃんは外を見つめているの。
その横で青空ちゃんやにじちゃんが
あれがそうじゃない!?
いま見つけたような気がする!
と、指を伸ばすたび
さくらちゃんは首を伸ばし
星花もつられてそっちを見ている。
後ろでびっくりしたように
見つけてくれたの!?
期待してぱたぱたやってきた蛍お姉ちゃんは
なんだ猫かぁって。
なくしたパンツを探しているんだって。
そこにまたぱたぱたと
見つけたって本当!?
足音を鳴らすのは
電車の記念切符を探している麗ちゃん。
大事なものなんですね。
寒さと雨で
今日はなかなか
見つからないものが多いけれど──
霙お姉ちゃんが言うには、
会えなくて切なく思う時間も
人の気持ちには大切なのだと
そういうことらしい──
霙お姉ちゃんも大事なものがあるんですね。
猫に会えないさくらちゃんも
パンツが見つからない蛍お姉ちゃんも
記念切符を探す麗ちゃんも
会えなくても──大切な時間を過ごしているのかもしれないです。
星花が探すのを手伝ったら
すぐ見つかるといいのにな!
また青空ちゃんとにじちゃんの声につられて
きょろきょろ──
もし、かわいい茶虎に会えたら
星花の大事なお兄ちゃんにぜひ紹介したいです!