綿雪

『まってる』
今日は涼しくてよかったですね。
ぎらぎらした日差しも
すべて洗い流すような突然の雨もなく、
こういう日ばかりを
みんなと過ごせたら──
そう思うのだけど、
なかなかお天気のことだから。
また、海晴お姉ちゃんが気を付けるように言っている
暑い日を乗り越えて
何もする気になれないような
大変な暑さの中を
冷房も扇風機も冷たいおやつもうまく使いこなしながら──
やがて、夕暮れに西の空が染まるころに
吹き始める気持ちのいい風を
待つことになる日々。
おうちの時間は
そんなふうに過ごすことが多い──
夕方になれば
涼しくなるし、
お兄ちゃんも帰って来るし、
キッチンから呼ぶ声で
お手伝いもして──
あまりたくさん食べられなくて
夏の暑さでまた──食欲がなくなっても
夕方の風が吹くころに
集まるみんなと仲良く過ごせる──
暑い日の楽しみです。
そんなことしかできないのが
今年の暑い夏。
楽しいことも
冷たいおやつもたくさんあるけど、
でも、やっぱり
大変な日が過ぎるのを
待つしかないのです──
お兄ちゃんもそんな風に過ごしているでしょうか?
夏はまだこれからが本番。
へばったユキが元気をもらいに
お兄ちゃんに会いに行っても、
あんまり困らせないようにできたらな──