夕凪

『おぎょうぎよく』
かみさま
ほとけさま
おりひめさま、ひこぼしさま
天神さま──
みんなのお願いを
かなえてあげてね。
夕凪が見まわすと
どこからも聞こえるお願い、
胸に抱える短冊──
世界中のすべての人が
かなえたいお願いを今日この日は
聞いてもらいたいに違いない。
本当のことになるかどうかも──まだわからなくても、
わいわい言いながら
照れてほほを赤くしたりしながら
伝えたいことでいっぱいだ。
夕凪のお願いも聞いてあげてね。
このごろすっかり暑くなって
夏がやって来て、
毎日ぎらぎらの日差しの下で
汗をかき
うるさく大騒ぎをしている夕凪には
いったい、どんなお願いがあるのだろうか──?
昼も夜も
食欲がなくても食べやすいおそうめん。
夏らしく、みょうがを合わせるとなかなかだ。
ああ!
夕凪は──
そろそろ飽きて
ときどき残してしまう。
かみさま──
夕凪はもっとお手伝いを
たまにするから
お姉ちゃんたちがもっとリクエストを聞いて
はりきってくれるといいな!
お風呂に入ったら
はだかで出てきて
そのままいつも涼しい格好でいる子が
おぎょうぎよくない夕凪だという──
普段からも薄着になって
なにもかも脱ぎ捨て、
ときどきパンツでいるという。
おうちのみんなは
もっとちゃんとしているのに!
みんなが
こっそり夕凪に──
どんなときもクールに
涼しく過ごすコツを
ぽろっと漏らしたりはしないだろうか?
おだてて
くすぐって
聞き出せたりはしないだろうか?
夕凪よりもちゃんとしている
みんなはきっと──
お兄ちゃんから見ても
りっぱな女の子に違いない。
どうか──
どこか、
お空の上かどこかで
お願い事をすべて本当にしてしまうえらい神様──
七月七日は
ささのはさらさら、星もかがやく七夕の日。
きれいな心のみんなのお願いを
残らずまとめて叶えるついでに、
みんなの中ではしゃいだり
たまに、いい子にしている夕凪にも
とてもいいことが
あるように。
夕凪の、そんなお話を
星のきれいな今夜は聞いてみてください!
まってます。