夕凪

『日々成長』
きのうより今日!
今日より──
あした。
夕凪はどんどん背が伸びる。
まだかまだか、
お兄ちゃんや
お姉ちゃんたちに追いつく日はまだかと言って
毎日測っているだけだと
明らかに伸びている瞬間は
つかまえられないのに──
目を離すといつの間にか大きくなっている。
いつのまに!?
こんなに!
明日にはもう
みんなを乗り越えたい夕凪と
そんなにまたたくまでもない現実に
振り回されながら──
それでも伸びている。
あと、運動が
ちょっと得意になったかも
しれないの。
足が伸びたから?
鍛えているから?
気のせいという答えも
あるのかもしれないが──
クラスでも足が速いほうの子を
ゴール前で追い抜き、
日直の大きな荷物を運ぶのも
そんなに苦労しないようになった、
気がする。
友達が言うには
夕凪は別に鍛えて強くなるかどうかは関係なく
走るし
踊るし
お水もおいしそうに飲むし
ときどき成長もするんじゃあないの。
だって。
でも、お水はいつだっておいしいし
成長してるってわかるほうが
運動したくなるものだし
やっぱり、練習の成果が出ているということにしたいの。
そんな話を
夕凪がするとき──
お姉ちゃんたちは
もう背が伸びなくなった、
運動したらその分が
すぐ結果に出ることもあんまりなくなった、
お勉強も毎日難しくなる──
でも、どこかで
毎日成長してるって
夕凪は思わない?
とか聞いてくるの。
ちょっと目を離したすきに
ぐんぐん
伸びていたりしないだろうか?
それが自分の好きなことで
もっともっと得意になっていったら
どんなにいいことだろう!
と言うの。
お兄ちゃんもぐんぐん伸びてる?
好きなことがうまくできるようになった?
きのうより──
今日より──
はたして、そうなのか!?
どんとまかせて!
夕凪が見てあげる。