綿雪

羅針盤
疲れが取れて
あったまって
せっけんの
いいにおいになって
汗のべとべとがとれる!
さわやかで
気持ちのいい──
そんなすてきなものがあったら、
みんなが毎日
楽しみにしているのだって
わかる気がする。
今日みたいに
透き通った青空の
少し汗ばむくらいの陽気には、
まだ夢中で遊んだ後の
ほてった赤い顔を残しながら
子供たちはお風呂へ、
泥と埃の汚れを落としに
走っていく──
何も迷わず真っ直ぐ進む
元気な姿は
私たちに見えない何かの道しるべを
知っているよう──
いいですね!
おうちに帰ってきて
楽しみがこんなに多いなんて
ユキはあまりわからなかったもの。
少しお熱があるときは
部屋で体を拭くくらいしかできないし、
それに汗を滝のように流して笑ったり
泥にまみれるなんて
まだちょっと──
もう少し大きくなって
体が丈夫になるまで
できないでしょう?
だけど、
きれいになって
いいにおいになって
泡をざーっと洗い流したあとの
ぴっかぴかの肌になるのは
好きだから──
あんなに大さわぎをしているみんなと
話が合うかもしれないな。
どう?
お兄ちゃん。
ユキはそんなにびっしょり汗をかいていないけれど
つるつるぴかぴかに磨いて
お風呂から帰ってきたなら、
楽しいねってお話を
一緒にできる?
もっともっと
ユキの知らない特別なことを、
当たり前のようでも
つまらないなんて言ってしまうことでも
知らないすべてを
おうちのみんな──
どうか、たくさん
教えてほしいと思っています!