綿雪

『ご招待』
お兄ちゃんへ。
これからしばらく
寒さが今まで以上に
厳しくなると聞きます。
ユキも部屋から
出られない日が多くなるかもしれない──
熱が出て
ずっとベッドから起き上がれない日が
また増えるのかもしれない。
体が弱いのは
仕方のないことだけど
でも、やっぱり想像するだけで
少し寂しいです。
がまんしないといけないことなの──
そこで!
吹雪ちゃんや麗ちゃんに相談したら、
そういう時は時間を決めて約束をして
会いに来てもらうのが
相手も予定を立てやすくていいですよ、
と言っていたの。
本当でしょうか?
それが本当ならとてもいいことだと思うけど、
でも──
忙しい氷柱お姉ちゃんみたいに
急に用事が入ることだって多いでしょう?
お兄ちゃんも
みんなに頼られて大変みたいだし──
それに何より、
一番の問題は
時間を決めて
もうすぐ会えると思っているユキが
待ちきれなくて
そわそわしすぎてしまうこと。
お兄ちゃんと待ち合わせの約束をすることを
考えるだけで──
ちょっと落ち着かなくて
どきどきするんだもの。
本当に予定が決まってしまったら──
それをどれだけ頼りにするかわからない──
悩んだけど。
結局、一度はやってみないと
どんな様子かわからないとも聞いて
確かにもっともだと思ったので、
もしも、お兄ちゃんが
これから先に空いている時間があったら
ユキの部屋に来てお話をしませんか?
今なら、チョコレートもあります。
青空ちゃんや虹子ちゃんが遊びに来た時に
なくなってしまうかもしれないけど──
その時は何か考えておきますね。
もし予定を入れてもらえるなら
お返事を下さい。
待っています。
ユキはいつでも、お兄ちゃんに会えたら
幸せだろうと考えています──
おうちの中でふいに会うのも、
時間を決めて待ち合わせるのも──
そんなことがあったら
いつも喜んでいるに違いない。
寒さに負けて
ベッドに眠っているときのユキには
お兄ちゃんが必要なんです。