『オービット』
そうか──
オマエも気付いているという顔だな。
ああ、その通りだ。
怖ろしい気配が近づいている──
人は抵抗の術もなく
ただ身を丸めて
通り過ぎるのを待つしかない
そんな出来事がもうすぐ──
いや、もうやって来ていると言ってもいい。
だけど、それを乗り越えなければ
暖かい春もなく
縁側で日向ぼっこをしたり
甘味のお店を歩いて回って新メニューを制覇することも
ないからな──
私たちでも乗り越えられるだろうか?
あの厳しい
寒さを相手にして──
毎年どうにかやって来ているのだが
それでも小さい子が風邪を引いたり
小さい子に交じって小雨が風邪を引いたり
虹子たちが千羽鶴を作るお手伝いに駆り出されたり
小雨が治って元気になったり──
いろいろばたばたすることも多いからな。
冬の寒さはこれからさらに注意が必要だという。
私たちはもう
白旗を上げて
抵抗をやめ、
家にこもって過ごすのが一番なのではないだろうか?
特に、明日から寒気の影響があって
なんだか大変だと聞くじゃないか。
学校を休むとはいかなくても、
寄り道をせずに
早く帰って、
家でおいしいものを食べるのが
今の私たちに求められる
最善の行動と言えないだろうか?
他の何を
後回しにすることがあったとしても
今だけは──
そう思ってしまっても
仕方のないことだ。
なに、焦らずとも
体を大事に毎日を過ごしていれば
やがて季節は巡り
あの待ち遠しい春もいつかは訪れる──
こういう時にあまり買い物に出歩かなくていいように
日持ちのするお菓子も買い溜めておいたのが
今になって役立ちそうだ。
あれはどこにしまったかな──?
本当にまだしまってあるのかな──?
まあ、暖房のある場所で
暖かい服をしっかり着込んで、
ゆっくりしながら思い出すとしよう──
春はまだ遠く、
しかし確かに近づいているはず。
ついに来た
乗り越えるべき本格的な冬の寒さがその証明となるのなら
まあ──お茶でも淹れてなんとかがんばっていくことにしよう。