『決断』
あべかわか
きなこか──
選択肢は
星の輝くように無数に生まれ、
それは、今の私が
決めるには
あまりにも重大な問題となるだろう。
年の初めの
一年を占う大事な日に、
いきなり別のおもちが良かったと
後悔するのは──
ちょっと悲しいからな。
ああ、
できることをしておいたらこんなことには──
去年の一年を締める時に
もっとちゃんとしておけば──
うん。
結局、こうして
あれこれ悩んだあとで
もうこれしかない、
よし、
作れるものは作ろうと
いろいろ種類を用意する話になるのは
わかっているのだが、
そうなるとつまり──
お手伝いに駆り出されるし
ついでだからと大掃除も任されるし
よくわからない間に
おせちの準備まで付き合わされるのは
目に見えているので、
こうして悩むに足る難問を引き受けているような
神妙な顔をしているのは
ありだと思うんだ──
どうだろう。
家族の誰か一人くらいは、ごまかせているだろうか?
せめて、おせちの中身に詳しいふりをして
お重を洗って
水分を拭きとり、したり顔をするといった仕事くらいなら
こたつに入りながら
ゆっくり年の瀬の時間が流れる良さを
その身に感じながら過ごせるけど──
でも、それで済むわけはないからな。
どうしたものか──
もしも──
大事な年越しそばの具を思っていると難しい顔をしたら
なんとなくそういうものだと思ってしまう子は
いないかな──
きっと、準備のいい春風たちが
いろいろ用意しているんだろうな。
ゆっくりその時を待ち
食べるだけとは──なかなかいかないのだろうな。
年末だ──みんな、そんなに忙しくしなくても年は明けるというのにな。