『新年のあいさつ』
一年の始まりの
あいさつ、
きちんとできたら
その一年はいいことがありそうな気が
ちょっとする。
とはいっても
そう、
子供は新年から
忙しい。
あなたも子供だったことがあるのなら
知っているかしら?
なにしろ朝から
年賀状の確認をして
返信の用意、
書初め
羽子板、
すごろく
福笑い。
おもちも食べて
おせちも出てきて──
なにしろおせちは
好きな具材の話し合いから
取引、交渉、駆け引き
ついに手にする
目的通りの報酬──
まあ少し大げさに言ったんだけど
お目当てがなくなっていたら少し寂しい。
一年を占う気もしてくる
食卓のような気が
ちょっとしないでもないでしょう?
わかる?
そんなこんなで
着慣れない衣装も相まって
気が引き締まるというより前に
一日が終わるころには
慣れない筋肉を使った感じで
くたくたの
よれよれ。
晴れがましい気分の残りは少し。
まったく、普段の毎日に戻るのは
いつのことかしら?
本当にみんなが言うように
今年もこうして過ごしたお正月、
終わる頃には
すっかり愛着がわいて
さみしくなるのかしら。
だから
大変な思いをしている子供に
あまり期待はしないほうがいいでしょうと
あらかじめ忠告はしたうえで
仕方がないから
そこそこ新年らしく改まったと言える程度の
あいさつはしておくわ。
ええ、
おほん。
令和3年も今日がはじまり──
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくしてほしかったら
わかるわね?
日々をまじめに過ごすことよ。
それじゃ、
このくらいで。