立夏

『パワーファイター』
ふ……
ふえ……
ぶっくしょい!
でへへ──
もうすぐ、おばけがやってきて
街は怪しい気配に包まれるという。
屋根裏──床下──
誰も見ていない場所で、
または暗がりから目を離したその時に
夜のような生き物はしのびこむ。
もしかしたら、もうすでに
そのあたりに!?
ふりむくとそこに──?
そんな日々に、
立夏が体をきたえて
きれいなボディを目指しているのは、
きっとおばけからみんなを守るために違いない。
それともあれは、
ただ単に
ハロウィンパーティーの仮装ができあがり、
試着をしてみて
お腹が入らなかったからなのだろうか?
答えは誰も知らない。
一応──ギリギリ体には入って、
お腹周りを
もう少し絞りたいだけかもしれない。
誰にもわからない。
そして──
運動をしてぽかぽかで、
汗を拭きながら
そのまま薄着で過ごしてしまい──
日が入ってから
急に寒くなるのをすっかり忘れて、
運動をして
気分がいいまま──
体が冷えてしまうこともあるかもしれない!
ぐずぐず──
こんな調子で、
あと少しの間に努力の成果は見えるのか?
気休めにはなるのか──
無理はしないほうがいいのか?
未来を見ることのできない人間では
誰もわからない。
おばけは知っているかもしれない──
とにかく、今日も運動!
きっと努力は裏切らない。
もも上げにベントオーバー、
バランスよくダンベルカール。
背中に世界を背負ってる。
あとは、休憩もちゃんとして──
あらわれ出したおばけに負けず、
できれば自分にも負けず
かわいい仮装が似合う
理想の体を手に入れるまで、
はりきっていこう!