吹雪

『調整』
時間がなければ
間に合うだけをすればいい──
手が足りなければ、
できる範囲をすればいい。
人間には──
できることとできないことがある。
なのに、なぜ
無茶を始めるのか。
星の動きを眺めて
その軌道を正確に知ろうとした──
世界の構成要素を
全て分解し
はじまりに至るまで
求めようとした──
人の心を動かす芸術を
計算とプログラミングによって実現しようとした。
あるものを──別のものに変えようとした。
ないものを──そこに生み出そうとした。
治らない病気を治した。
いくつも──死の運命を覆した。
悲しみを紛らわせようとした。
笑わせようとした。
迷う人に道を示そうとした──
夜に火を灯し、
道具を使う手を自由にしようと日本の足で立ち、
大空へ飛び出して──
人間は、第二宇宙速度を越えて
見つめるだけだった、あの星の上に足跡を残した。
いつかやがては、
今は叶わない全てが現実になる──
それが、歴史や知識という教師が私たちに学ばせようとしてきたことです。
海晴姉はハロウィンの料理の練習を始め、
とても苦戦していて、
手が五本も六本もないとできないとか
時間がもうあと一週間は欲しいとか
小さな頃から
真面目に習っておけば──と言いながら
動かす手を休めることはありません。
あまり疲れすぎたら
学習の効率が悪くなって
逆効果なのでは?
そもそも──現代科学で可能な範囲の願いであるのか?
この場所で
世界のどこであっても見られなかったブレイクスルーが発生し、
起こるはずがないことが起こることは
ありえるのか?
私は──
科学を知り、歴史を知る者の一人としては
可能性はゼロではないとしか言えません──
そうそう、海晴姉が教えてくれて
一緒に作ったクッキーがまだ残っています。
もしよければ、どうぞ。
本当なら、焼きたてもおいしいそうです──
また挑戦の機会を求めて
キッチンの空き時間を見つけ出すのも、
慌ただしいハロウィンパーティーの準備中であるという理由だけでは
不可能とは断言できないはずです──