氷柱

『マリアージュ
おいしいものは
クリームシチュー。
シチューとなると
日本人にとっては、あの永遠に答えの出ない
議論があるわね。
すなわち──
シチューにごはんは合うのか!
それとも、一緒に食べるのは無理なのか!
でも、本当に世の中に
答えの出ない問題なんてあるものかしら。
ひょっとしたら──今夜の私たち家族の食卓で
歴史的な進展があったりするかもしれない。
よく言われるのは、シチューに入れる牛乳の優しい甘みと
ごはんをよく噛んだ甘みとで、
おいしさを引き立てあう関係にない──ということね。
でも、ごはんに合う派にはそんなことは関係ない。
濃い味付けで
ごはんが進むはずだ!
そして、いつも走って騒いで
お腹を空かせている子供たちには、
ごはんのおともになる事実こそ
最重要なのだとも言われている──
ごはんを五目御飯やピラフにして満足感をプラスしても良いという。
話し合いはどこへ向かっていくのか!?
だけど待ってほしい。
ごはんがいらない派の意見も聞いてみると、
パンが特に合うとする主張のほかにも、
ボリュームのあるシチュー自体がメインであるべきでは?
それでこそ食事のバランスがきれいに整うと──
考えている子もいるようなの。
その場合、付け合わせに栄養の補助やいろどりになる
サラダや、魚料理があるとうれしいという意見もあるわ。
シチューは
メインディッシュか
箸休めのスープか
ごはんをかきこむ副菜か
もしくは、そのすべてか──
ひとつのメニューに対して
人それぞれの、あるいは気分によっての変化がこんなにあるなんて、
ちょっと珍しい気もするわね。
そんな時こそ──
献立の選択肢が鍵を握ると
春風姉様はついに結論を出したそうなの。
主食に位置づけて
サイドメニューを充実させる方向や、
少し物足りなかったら
サンドイッチをスライスしたオープンサンドなどの軽めのもので
ボリュームを調節する手もある。
さらに
シチューで足りない育ち盛りや
体を動かすのが大好きなみんなのために──
ごはんを追加し、
炎をまとった中華、黄金の卵料理などでおなかを満たし、
さらには禁断の
牛肉たっぷりビーフシチューで
クリームシチューの鶏肉と紅白の二皿──
お料理の幅を知るほどに
シチューはそれに応えてくれる──
みたいなことを
春風姉様が熱く語っていたわ。
私の愚かな下僕も──やっぱりそう思う?
知識の幅が広いほど豊かになるって言われたら
なんだかそんな気もして来るし──
今年も、これからどんどん寒くなって
シチューの出番は増えていくと思うわ。
まだ答えなんてわからない私たちのために──
知ることが増える冬の時間が──
どうやら、やって来ようとしているみたいね。