『秋の風物詩』
あなたも──
衣替えでたびたび話題のおしゃれに
絵本に文学、
女の子っぽいものばかり
やけにいっぱいの
わがやの風潮に
そろそろ居場所がなくなってきているような
そんな気がしてきたのね?
わかっているわ。
いくら男の子がひとり来たところで、
わずかな抵抗は
数の差に押されて
すっかり消えてしまうのが定め──
たとえ、退屈した青空ちゃんが遊びに来てくれたり
少しだけ私の趣味が
理解されることがあったって──
それはほんのひととき。
たちまち終わってしまい
物寂しさが後に残るばかり。
それなら、どうせ一瞬なら少しくらい──
たとえ車両が空を飛び水面を駆けたところで
楽しんで遊んでくれる子供たちの気持ちには
水を差すなんて野暮なことはしない。
いえ、まあ──
できるならそんなに飛ばないほうがいいんだけど。
こんな乙女っぽい雰囲気の中だから
そろそろあなたも
助けを求めてやってくる頃なのではないかと
思っていたのよ。
冬に備えて編み物くらいはできるようにならないと、とか
押し付けられるでしょう──
女の子なんだから
おしゃれには気を使ったらいいって
これでもちゃんと──
ピシッと袖をそろえてたたんで、
見た目がきれいになるようにしまっておけば
着るときも気分がいいし、
タンスの中を派手にする必要なんて──
だけど、その顔はどうも
話が微妙に噛み合わないとでも言いたいようね。
まさか──ま、まさかとは思うけど
あなたもずぼらな男の一人、
多少、ちゃんとしているように見えたって──
タンスの中に
たたみもせずに押し込んで服をしわだらけにしているようなタイプじゃあ
ないでしょうね。
うーん──でも、こんな時に
肩身が狭くて集まった同士が
いがみ合ったってしかたがないわ。
おしゃれの秋も芸術の秋も
秋だからとわいわい
なにやらうるさい空気から逃れて
趣味の季節を自由に、
心穏やかに満喫しようというのなら
こんなにいいものを──
鉄道模型だって貸してあげてもいいのよ。
何かと大変な時が誰にだってあるのは知ってるから──
たまには、遊びに来たっていいんだから。
散らかさないでよね!