綿雪

『さみしさ』
あれっ──
もしかして
今日は、
いつもよりも
寒い日なのではないかしら──
体の弱いユキは
もうそろそろ、
一枚多めに羽織るものを見つけなくては
いけない季節が──
やってきたのかもしれない。
でも、本当にそうなのかな?
自分の体に
気を付けて──
熱が出るのも
みんなに迷惑をかけるのも怖くて、
よく天気予報の気温を見つめたり。
風がない部屋の
窓から外を眺めて、
雲の速さを気にしたり、
そうやって、寒くなるのには
いつも誰よりも早く気付く
ユキだったはずだもの。
このところ
少し体の調子が良くて──
みんなといるのが
楽しかったから、
もうすっかり、
体を気遣うちゃんとしたユキが
どこにもいないだなんて
そんなことはまさか──
それに、寒くなったら
このごろみんなと遊んでいたように
お庭で走ったりすることもなかなかできなくなるの。
もう一枚の重ね着をしたら
あんなに楽しかった追いかけっこだって、
すぐに追いつかれてしまうようになる。
ユキはもともと
そんなに運動はできないほうだもの。
気候のいい今頃にだけ、
こんなに難しいことを忘れて
遊んだりできるんだから──
きっと、まだそんなに寒くなんてないし
明日からだって
ユキはとんではしゃいで、遊べるの。
落ち葉が積もり始めた
やさしいおうちの庭は──
まだ、急にあんまりいじわるに
変わったりしないはずでしょう?
ただの気のせい──
気にしなくていい。
だから、明日もそれからも
その先もずっと、ずっと
遊びたいことが色々──みんなとしたいことが、
ユキには、いっぱいあるの。