真璃

『知っている!』
ええっ!
たのもしくて
かっこよくて
ときどきかわいらしい
あの愛しい
フェルゼンが!?
霙お姉ちゃまの冗談を
本気にして
心配してしまっただなんて!
いつもやさしくて
みんなを見ていてくれる
マリーのおうちの長男は──
なんだかほっておけないのよね。
霙お姉ちゃまなら、大丈夫。
宿題をついつい後回しなんてことは
たぶんなくて──
みんなのために
宿題をしないと
たいへんだぞ!
と、考えさせるための
作戦の一つなのよ。
マリー、よく
ひっかかるから
わかるわ。
お片付けをしないでいたら
どうなってしまったのか
霙お姉ちゃまのとっても迫力のある
おはなし──
さすがに作りごとだとわかっていても
お片付けをしないでは
いられなくなるし
宿題をしないではいられなくなる。
霙お姉ちゃまの
あの人をぞくぞくさせるおはなしの上手さは
やっぱり、日頃から難しいことを考えているからだと思うわ。
見習わなくっちゃ。
マリー、なかなか
ああはできなくて
とってもおもしろい
ご本を読んで
物語の中に入り込んで──
その中に出てくる
このお食事はどんな味なのかしら!
って、思うことがあるでしょう?
トンソクの首煮込み?
Pカスタード?
『全て』……?
……『全て』!?
そんなときに思うのは
霙お姉ちゃまなら──
かしこくて
おいしいものをたくさん知っていて
みんなのお姉ちゃまの
霙お姉ちゃまなら
こんなに難しい
おいしそうだけどよくわからないお料理を説明して
おねだりすることだって
できるのかしら──
ということ。
マリー、しかたないから
キッチンのお手伝いをしながら
がんばってできるだけ説明するしかないのだけど
ぜんぜんなの!
世の中の難しいことを
できるという人が──
本当にいるのだとしたら。
きっと、よく冗談を言うとしても
すごいことよね!
マリー、これからももっと霙お姉ちゃまのお話が聞きたいと思うわ。