真璃

『チャレンジ』
見ていて、観月!
観月もあと一年もすれば
大人になりキレイになりお姉さんになり
なんでもできるようになるということを!
……
ぺろり。
う、うーん
いけなくもなさそうな感じだけど
少し心の準備をする時間が必要ね。
でも、苦手なものなんだし
栄養がたくさんで大きくなるってものでもないし
無理をして飲む必要は
ちっともないと思うのよね。
刺激が強くて子供には早いとも言えるし
無理はしなくていい!
と、言いたいところだけど
よゆうだって
観月に言っちゃったし
コーヒーくらいに負けているようでは
将来立派なレディになれないわ!
もっと大変なことも
フェルゼンと力を合わせて乗り越えてゆく──
だからフェルゼン、
やがてマリーにそうしてくれるように
今日も応援していてね。
だいたい、それなりの日を選ぶのも
あると思うのよ。
みんなが水撒きをして遊びすぎて濡れた服を
ベランダの手すりや物干し竿や
いたるところに干して乾かした記憶も
まだあんなにも鮮やか。
強い日差しはあの頃のようにまだじんわりと汗を呼ぶわ。
暑いのに温かい飲み物を飲まなくてもいいよねって
観月にコーヒーが飲めるところを見せ
おいしさを教えてあげるのだと一緒に誓った
夕凪お姉ちゃまに立夏お姉ちゃま、
うなずいていた霙お姉ちゃまは
さっと身を翻して逃げていって
取り残されたのはマリーただひとり。
ならば
マリーがやらねばならないことだわ!
じゃ、じゃあ
こうしていてもらちが明かないし
ほどよくカップの中身が冷めたところで
そろそろいってみようかな。
う、ううん
いい香り──
ごくり
ごくり
ぐ──
まあ、こんなもの
いっちょうあがりで
ちょちょいのちょいよ。
これからはどんなメニューでも
マリーもフェルゼンたちのティータイムに
いつでも呼んでくれれば
一緒に……
うっ!
ううっ!
ごほごほ……
ちょっとむせたわ。